2015年6月16日火曜日

ジャガーXE が退屈なDセグセダン市場をぶっ潰す!

  ジャガーXEにはまだ乗ってません! けれどもなんかとってもいい雰囲気の情報が次々と入ってきています。「オマエの想像なんてどうでもいい!」という人は時間のムダなので、どうぞページを閉じて退場してください。このあと延々と「想像」しか出てこない退屈極まりない話で恐縮ですが、「ジャガーXEがセダンのあり方を再定義してくれるであろう展望」について飽きるまで語ります。一応、私なりには「これ」を語る意義が十分にあると感じているのですが、実際のところ家族や親しい人、そしてクルマ好きの友人に対してさえ話すのは、少々気が引けるくらいに私自身が「想い」が強過ぎるんですよね。まあブログってとっても便利だなって改めて思います。

  まだ見ぬジャガーXEに過剰な期待をかける理由はいくつもあります。既に公表されているデザインがなかなか渋くて素晴らしいとか、海外で試乗したカーメディアの反応が一様に好意的とか、そういうのは全くもって関係ないです。7月号のモーターマガジンで、超有名ライターの島下さんがレビューを書いていらっしゃいましたが、これを読んだ時に失礼極まりないですが、あまりにも私の想像通りの内容に、寒気がするほどに変な「デジャブ感」を覚えたくらいです。ジャガーが相当早くに新型セダン「XE」の設計上の概要について情報を出していましたが、この段階ですでにかなりのイメージが固まっていました。インスピレーションというヤツでしょうか。このXE開発の3本の柱といえる「アルミ」「サス」「エンジン」の内容を聞いたとき、ジャガーの開発にはとんでもない「カーガイ」が関与していて、そしてこのクルマが期待通りに作られ何年後かにこれを絶賛している自分の姿がありありと浮かびました。

  先ほども述べましたが、島下さんのレポートもまるで夢遊病のまま海外まで行って乗ってきた自分が書いた!かのような内容でした。3シリーズを初めとするDセグセダンの主流派をみんなまとめて引っくり返すクルマが現れるとしたらこのXEだ!みたいな内容だったと記憶しますが、なぜこのレビューに「乗ってもいない」自分が、これほど病的なまでに「絶対にそうだ!」と思うのか・・・なんだか自分でも怖いくらいですが、そういう確信ってしばしばありますよね?。私はこれまでジャガーのオーナーになったこともありませんし、このブランドのクルマを運転した機会はわずかに2回(しかも数分)ですので、ジャガーに対する個人的な信頼感「ジャガーならいいクルマだろう!」というのはほぼゼロに近いです。もっとも所有しているマツダであっても、今ではそんな「信頼感」はまったくといっていいほど無いですけど。

  ジャガーの何を信じられる?と言われたら、「現在の不遇な状況」と即答したいです。端的に言うと今のジャガーは間違いなく「名車」が生まれてきやすい環境だと言えます。ジャガー・ランドローバー(J&L)は現在はインドの自動車メーカー「タタ」の傘下にあります。「タタ」はインドでは一番有名なメーカーですが、本国インドの市場では台数ベースでスズキに負けてしまうほどで、北米、中国の2大市場にも「J&L」以外の展開は出来ていません。新興国の成長メーカーとはいえ、グローバルではまだまだトップ10グループ(VW、トヨタ、GM、ルノ日産、ヒュンダイキア、フォード、フィアットクライスラ、PSA、ホンダ、スズキ)にはほど遠いですし、その下にひしめくBMW、メルセデス、マツダ、スバルと成長著しい中国勢からも遅れをとっている規模に過ぎません。

  それでも窮地のJ&Lに手を差し伸べた「タタ」は、カネは出すけど口は出さない主義のようで、少々の開発ソースを得て復活を期すジャガーが真っ先に手掛けたのが、意外なことにピュアスポーツの「Fタイプ」でした。「何故?」という周囲の戸惑いをよそに、クルマ自体は予想をはるかに上回る意欲的な設計と価格設定によって、ラグジュアリーカー市場に旋風を巻き起こす存在になっています。欧州・北米では大型セダンのシェアをまだまだ少なからず持っているので、ブランドイメージを盛り上げるために新型スポーツの「Fタイプ」を作って「ジャガー復興」をアピールする狙いがあるようです。このクルマの販売戦略は関しても、顧客リストのXJユーザーのお金持ちに対して、「セカンドカーにFタイプどうですか?」と持ちかけることができるので、J&Lよりも経営基盤がしっかりしている日本メーカーが作るよりも、販売に関してはいくらかハードルが低かったと推測できます。

  今回はさらにブランドの裾野を広げるべくXEの開発を行いました。世界のほとんどのブランドにとっては、「Fタイプ」(専用設計スポーツ)の前に「XE」(中型セダン)を作るのが全くのセオリーなのですが、先述の通り「特殊」なブランドであるジャガーにとっては順序は逆のようです。つまりジャガーはBMWやレクサスというよりも、フェラーリやアストンマーティンのような特殊なブランドアイデンティティを持っているということです。そしてジャガーにとってはDセグセダンの展開こそが、ライバル関係を考えると非常にハードルが高いとも言えます。フォード傘下時代にモンデオとの共通設計の「Xタイプ」くらいしか経験の無いDセグセダンに、自前の新開発のFRシャシーで挑むという計画の裏には、経営陣にそういう決定をさせるだけの強烈な個性の「作り手」の存在があるのでは?と思うのです(少々飛躍がありますがご了承を)。

  「ブランド存続の危機」に瀕した自動車メーカーにはしばしば「偉大な設計者」が生まれます。奇才・天才の類いが最も活躍しやすいのが「ピンチの局面」というのは自動車業界に限った話ではないですけど。今のジャガーと同じような境遇に置かれていたのが、12年くらい前の日産とマツダでしょうか。ご存知のようにミニバン&コンパクトカーに国内市場を席巻され、海外市場でもこれといったヒット車を出せていなかった両メーカーは赤字転落からの再建の目処が全く立たずに、「技術力」を手土産にそれぞれルノーとフォードに身売りしていました。今でこそ第二次産業の「勝ち組」として日本の自動車各社は確固たる基盤と将来に渡っての技術革新への道筋を持っていますが、当時の自動車産業は「淘汰が避けられない」完全な斜陽と見做されていました。日本にはまだレクサスは無く、バブル気分が抜け切らない多くの日本人の感覚からしたら日本車のポジションは完全に輸入車の「下」そんな時代でした。誰がここから日産とマツダの復活を予測できたでしょうか?

  現在のジャガーに対する、世界の人々の認識も同じようなもので、フォードの古いシャシーを使って作られるフラッグシップサルーン「XJ」が、レクサスLS、Sクラス、クワトロポルテ、パナメーラといった超一流の高級サルーンに全く引けを取らない!と感じるクルマ好きは相対的に少ないと思います。いくら英国王室御用達だといっても、今のジャガーにレクサスやメルセデスと互角にやり合う基礎体力は無さそうですし、このクラスのクルマですら自前でシャシーが開発できないという哀れな状況です。しかも実際に運転してみるとやはり「遮音」「スペシャル感の無いアシやハンドリング」「内装」などなど・・・あれこれと「格差」が出てきます(もちろん一定の高級感はありますけど)。

  XJやXFのシャシーがすでに耐用年数を超えているのに、シェアを持っていないDセグに先に新開発シャシーを投入してくる戦略は、まさに「捨て身」と言えます。価格設定がよりシビアになるDセグで、長年作ってきて強固なシェアを持つ老舗に勝負を挑む・・・「玉砕」すらチラつく中での狂気的な「督戦」。そんなシチュエーションがどことなく先ほどの日産やマツダと被ります。今さら言うまでもないことですが、「V35スカイライン」で北米プレミアム市場に血路を切り開いた日産と、「GGアテンザ」で欧州を驚愕させたマツダには、それぞれ水野和敏、金井誠太という生え抜きの「天才的指揮官」がいました。そしてどちらも掲げた目標は「世界一のクルマをつくる」(=E46BMW3シリーズを倒す!)でした。

  日産もマツダも周囲の冷ややかな評価を覆す目覚ましい成果を挙げたわけですが、ちょっと口惜しいことに、この事実を日本の底意地悪いカーメディアどもがこの事実を積極的に報道せずにむしろ黙殺したこともあり、日本のクルマ好きでもこの偉業を知らない人が結構いるようです。先日もルマンで日本勢が完敗すると「日本車がドイツ車に勝てるわけがない」とか言い出す人々が続出していました。もちろんポルシェやアウディを批判するつもりはないですけど、湿気が多い日本やシンガポールで開催されたら全然違う結果じゃねーの?って気もしますが・・・。さてジャガーに対する期待がどこから生まれてきたかについて、少しくらいは伝えられたかなと思いますが、まだまだ言い足りないので、続きは次回にしたいと思います。ここまで「妄想」にお付き合い頂きありがとうございます。

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