2014年3月26日水曜日

各メーカーのセダンが抱える課題はとても「深い」

  セダンは10年以上に渡って「不人気」と言われてきました。そんな中でも着実にヒットをとばしたクルマ(セダン)もありますし、一言で「セダン=不人気」と括るのはちょっと納得いかない気分もします。この10年あまりでクルマの種類は着実に増えていて、最近では「ワゴンとミニバン」の境目や「SUVとクロスオーバーとミニバン」の違いも不明確だったりしますが、何だかんだ言っても「一人で乗るならスポーツカー」「大切な人を乗せるならセダン」という個人的な信念を変えるような新しいクルマはまだまだ出て来ていません。つまり「スポーツカーより楽しいクルマ」と「セダンより安全なクルマ」はまだ無いわけです。

  スバルの「アイサイト革命」を皮切りに、自動車の安全装備の有無が販売台数を大きく左右することが明らかになりました。確かに自動ブレーキは教習所で習うところの「空走距離」を短くできる利点がありますが、そもそも自動車の制動距離はクルマの性能によってかなり差があります。大体トップレベルのクルマで100km/h走行時からのフルブレーキングで40m程度の制動距離を要します。

  ブレーキングを猛プッシュでアピールするメーカーの制動距離は意外と長めだったりして、上級スポーツモデルには「ブレンボ」製ブレーキを付けるスバルは一般車のブレーキの性能は低いです。AWD車が中心のスバルはもともと制動距離は長めで、実際にマツダとスバルの看板セダンの制動距離を比べると、アテンザの方が2m近くも短いわけです。スバル車の保険料率は他社と比べて抜きん出て高いという「都市伝説」が広まっていますが、実際にスバルも販売面への深刻な影響を検討した結果、安全面を大幅にアピールする「アイサイト」の導入に踏み切ったようです。

  本来は安全なはずの「セダン」は、近年では重量の増加が進み、加速とブレーキングに大きな影響が出始めています。もちろんミニバンやSUVはもっと重くて重心も高いのでさらに危険なのはいうまでもないわけですが・・・。セダンは安全性さえ担保しておけば良いのに、下手に悪趣味な「高級化」「快適化」に走った結果、いまでは多くの中型以上のセダンはレザー&電動シートが当たり前。バッテリーもどんどん大型化し、増える電装品のヘビーユーズに耐えています。

  レザーシートを日本で使うとなるとエアコンの強化は必須。ひと昔前のドイツ車がすぐエアコンが壊れるのは日本の過酷な夏での使用環境をまったく想定できていなかったからだそうです。さらに「アイサイト」以降はほぼ全てのメーカーが各種安全装備のセンサーを装備するようになりました。さらに今ではFR車も電動ステアリングが当たり前になり、実はこれが一番電気を使うようです。トヨタ・日産・ホンダがセダンのHV化を強烈に進める背景には「燃費」以上に高級車の「電力不足」が深刻だからなんだとか・・・。HV化すれば通常の12Vではなくて、48Vで電装品が動かせるので、高級車の設備をそつなく向上させるには都合がいい。HV化が遅れているマツダも「キャパシター」という回生ブレーキシステムを使うようになりました。

  結果的にクルマの重量は増え続ける一方で、加速・制動を一定基準以上で行うとなるとクルマの設計としては結構いっぱいいっぱいになってしまって、結局従来の軽量だったクルマよりも安全なのかどうかは正直微妙なんですよね。センサーやら自動ブレーキやらで確実に減らせるタイプの事故なんて全体からみれば僅かな割合に過ぎません。安全装備が充実したからといっても衝突安全基準や制動力が低下してしまっていては本末転倒なんですが、重量増が目立つ輸入車セダンの中にはかつてよりも大幅のこの2つの性能を低下させているブランドも見られるのです。

  日本車・輸入車問わず、新型セダンはその性能(特に安全面)に疑問?というのが多くなってきました。その点をしっかり見極めて命を預けるクルマを選びたいものです。



 ↓なんで赤なんだろう?なんか違う気がする。
  


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2014年3月21日金曜日

スバルとマツダはどっちが伸びるのか?

  「どっちも伸びない」・・・終わり。これが今の率直な感想ですね。もちろん両者ともに良い点はいくつもあるのですが、どうも「目指すべき地点」や「理想とするクルマ像」を見失っているように感じます。ブランドとして「細々した」良い点といくつも積み上げている印象こそありますが、その間にレクサスや日産は絶対的に「大きな」良い点を加えていきました。この差は歴然たるもので、スバルやマツダの開発者には「虚無感」すら漂っているのではと思うのです。

  何のことを言っているかというと、マツダとスバルのフラッグシップであるアテンザ、レガシィと同セグメントに当たる「レクサスIS」「インフィニティQ50」の完成度が高すぎて、マツダやスバルでは到底に追いつけないレベルになってしまっていることです。これほどの実力の違いを見せつけられてしまっては苦しいです。高級車路線を歩み始めた新設計のアテンザ、レガシィがこれほど早く窮地に陥る(レガシィはまだ発売もしてないが)とは予想していなかったでしょう。

  初代・二代目と比べてクルマの完成度がむしろ下がったのではないかと思えるアテンザ。そして2008年に登場したレガシィのコンプリートカー「S402」から比較して、まったく実力を延ばせていないレガシィ。メーカーの経営難からコスト削減とは言わないまでも、投資する部分を絞ってつくられたこの2台のFMCは大きな進化を伴っていません。それに対しD/Eセグの世界最高水準を現実的に狙っている「レクサスIS」と「インフィニティQ50」は異次元の変化と言えるFMCを行い、完全に世界の中でもこの2台が抜け出した恰好になりました。

  もしかしたら「アテンザ」も「レガシィ」も今回で最後になるのでは?という予感すらします。トヨタが次期カムリ(マークXと統合モデルという噂)を投入すれば、北米でOEMを請け負うスバルにとって、自前のクルマを作る意義はほとんどなくなります。むしろ少ない経営資源をインプレッサに全力投入して、世界でもっともボリュームがあると言われるCセグ(トヨタも日産もそこまで力が入っていない)で頂点を目指すことが生き残りへの現実的な選択肢になるかもしれません。

  マツダにしても北米市場でアテンザが期待通りに売れないならば、次はもう目指す市場がなくなるので、スバルと同じようにCセグのアクセラやBセグのデミオに全力投球する方針になるでしょう。すでにそのシナリオはマツダの内部にはあるようで、今回からアテンザはアクセラ・CX-5と同じプラットフォームに格下げになりました。先代までは「IS」や「スカイライン」と同じ豪華なサスペンションを使っていましたが、新型ではレガシィやカムリと同じ形式のものになっています。

  レガシィもアテンザも居ない5年後の日本市場・・・。レクサス&インフィニティか?軽自動車(ホンダ)か?の「究極の二択」とまではならないでしょうけど、インプレッサやアクセラで我慢しなければならなくなるのかと考えると気が重くなりますね。


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2014年3月7日金曜日

新型スカイラインが某雑誌から大バッシング! オイオイ・・・。

  今月号の某雑誌は、現在絶好調の日本の自動車メーカーを挑発する「愉快犯」としか思えない内容で思わず唖然としました。普段から上から目線で日本車を扱き下ろすのが定番の雑誌なんですが、今月号もオデッセイを名物「老害」コーナー・喜怒哀楽でとりあえずフルボッコにして怪気炎を上げる還暦くらいのオッサンジャーナリスト達。彼らが言っていることが全く共感できないんですよ。

  「このクルマを買っても幸せになれるのか皆目検討がつかない」とか言っちゃってましが、ある程度年齢が逝ってしまった「老害」ジャーナリストなんて、ポルシェかAMGくらいじゃないと何とも思わないくらい頭カチカチなんじゃないの? 「幸せになれる」とか偽善者ぶってんじゃねーぞ! アル=ヴェルは評価しているくせに、オデッセイだけは車幅が限界超えてるっていう結論はおかしくないですか? いつもこんな矛盾極まりない結論の記事になんで金を払わなきゃいけないの?って思うのですが590円なら許してやるかって気になります。安すぎるのが問題な気もするんですよね・・・。

  300円台のコンビニで売ってる雑誌はもはや空想の連発なので、読む価値もないですが、この590円の雑誌もほとんど同類ですね。今月号の最も下劣な記事は、どこぞのSNSから拾ってきたアンケート結果を元に新型スカイラインを評するもの。アンケートの母体の約7割が現役のスカG乗りなので、内容は想像通りの「便所の落書き」状態です。アンケートというよりも新型スカイラインへの悪口を言わせるために召喚された精鋭。今さら直6だのV6だのは不毛すぎで12年前に終わらせとく議論を蒸し返して何が楽しいのか?

  いちいち律儀に内容を読んでやると・・・あれれ。「V37の嫌いなところは何ですか?」の質問に対しての答えがどれもズレてる。「車重が重いこと」重いのが嫌ならなんでスカGなんて乗ってんの? 「クルマの個性がない」直6ターボなんて当時はありふれた存在だったクルマのはず、V37は現状ではオンリーワンなハイテク装備なのだからどちらがキャラが立っているかは自明です。デザインだけで判断してるようですが・・・。「変人あつかいされる」「バカにされる」大変失礼だがスカG乗りの方々は自分達が街中でどう思われているかさっぱり分かってないようだ。「ターボがない」HVはターボになるという発想がないのか?

  もちろん「電子制御が多すぎる」みたいなまともな意見もあったけど、ほとんどが「だからどうした?」レベルの的外れなものばかり。自動車雑誌ならばそれらの意見に適切な解説を付けてもいいレベルだと思うのですが・・・。そもそも「価格が高い」ってどう考えても、このスペックで450万円は日産としては出血大サービスの価格といってもいいくらいじゃないかと思う。クラウンHVは現実的な価格を追求するためにスペックを下げたけど、日産はその逆の道を行っただけの話。そもそもこの日産のプライドの高さゆえの決断がすべての誤解を生んでいるという意見もあるのだけど・・・。やり過ぎと言われてしまっては仕方ないことですが、そういう意見はとりあえず無かったです。


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