2014年4月9日水曜日

アテンザの好きな点・嫌いな点 

  マツダ・アテンザは2012年に3代目が登場し、そのデザインで世間の注目を集めました。初代がデビューした2002年当時は、マツダにはさらに上のグレードのセダン(ミレーニア)があったので、中型のスポーツセダンとしてアクティブなユーザーに親しんでもらうモデルでしたが、2代目からはマツダの最上級モデルとなったため、スポーティさは次第に薄まり、高級感を演出するコンセプトへと変化してきました。

  初代と3代目を見比べると、10年間でここまで変わるものか?というほどにマツダが気合を入れて作りこんでいる様子が分ります。もちろんそれはマツダが置かれていた特殊な環境によるものでして、端的に言えば中型セダンに最大限に注力できるメーカーが世界を見渡してもマツダとスバルくらいなものだったからです。欧州のVWやプジョーなどは小型のクルマに主眼を置いていますが、マツダやスバルの場合は小型車技術が発達した日本での成長が見込めないために、「中型車主体」という稀な戦略を採りました。

  アテンザやレガシィと同クラスのセダンは、トヨタカムリ、日産ティアナ、ホンダアコードでは北米向けの汎用型セダンとして、サイズから乗り味(アクセル、ブレーキ)から全てアメリカ向けの「おおらか」な設計がされています。クイックなハンドリングではなくバスを運転している感覚こそが高級感の演出というアメリカ人的解釈がよく反映されています。その中で欧州向けのクイックなハンドリングのアテンザは独自のポジションを築きました。

  一方、メルセデス、BMW、アウディ、レクサスといったプレミアムブランドでは、アテンザクラスのクルマはあくまで入門車扱いであり、メーカーからは意図的に機能を抑えた設計がされていたために、マツダの貧弱な経営基盤でも十分に対抗できるクルマを作ることができたようです。最近ではレクサスやメルセデスでDセグセダンの性能をかなり引き上げる動きが出て来たので、BMWやアウディにもこれが波及するでしょうから、マツダとしては正念場を迎えることになりそうです。

  迷走の2000年代を過ごしたと言われるBMWの「3シリーズ」と「アテンザ」を比較すると、「E46」をコピーして誕生した「初代GG」の段階ではクルマの雰囲気はとても良く似ています。しかし「E90」に比べてサルーンとしての快適性を主張した「2代目GH」は、いち早く現在の欧州のトレンドになった「4ドアクーペ」調の空力追求型へと踏み出し静音性・快適性をアピールするようになりました。「F30」が完全に欧州のトレンドを掴み損ねている中で、「3代目GJ」はサイズを1クラス上の5シリーズサイズまで拡大し、停滞気味の欧州D/Eセグの顧客に対し魅力あるクリーンディーゼルで訴求しました。

  何がいいたいかというと、「非プレミアムブランド」としてのフットワークの良さをフル活用して、世界的なブランドであるメルセデスやBMWに揺さぶりを掛けることに成功しつつあることが素晴らしい! もちろんマツダの儲けなどメルセデスやBMWの比べれば大したことはないのですが、「非プレミアム」の中堅メーカーがグローバルで生き残っていることがすでに「大成功」だと言えます。

  そしてそのアクティブな姿勢がレクサスやメルセデスに危機感を抱かせ、実際にアテンザと同クラスのクルマの進歩は目覚ましいものがあります。VWがCセグでどんなにいいクルマを作ってもレクサスやメルセデスにとっては痛くも痒くもないわけですが、アテンザだけはどうしても放置できないというわけです。これってとても「天晴れな」ことじゃないですか!

  ただアテンザが怒濤のように3代目まで突き進んでみると、スポーツセダンの頃を愛していたユーザーにとっては一抹の寂しさがあります。大きく変化するアテンザに対し、プレミアムブランドとして急激な変化を避けてきたBMWのラインナップに、以前のアテンザの姿を見てしまうことも・・・。マツダはそろそろ真剣に「スポーツセダン・アテンザ」の復刻を考えてほしいなと思います。



  ↓このクルマを見かけると、とっても羨ましいなと思うこの頃です・・・。

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