2013年7月27日土曜日

前評判がいまいちなアコードHVも好調な滑り出し!


  ホンダーカーズの担当者も最初からほとんど期待していなかったようですが、アコードHVが好調なスタートを切ったようです。アテンザ・クラウン・ISに先を越され、発売前からカムリHVの二番煎じと揶揄され、評論家からの評判も今ひとつだったのですが、フタを開けてみれば・・・と言ったところでしょうか。

  「絶対に売れる」と言われたゴルフと「絶対に苦戦する」と言われたアコードHVですが、それはあくまで専門家の「ミクロ」な分析に過ぎなかったようです。結局はお金を持っている都市部の人々にとっては、ゴルフやアコードといった車名よりも、ハッチバックとセダンのどちらに希少性を感じるかといった「マクロ」な判断がアコードHVの予想外の健闘の大きな要因になっているように感じます。

  ちょっと言葉が悪いですが、服装も髪型もメチャクチャで、センスの悪そうな中年のカーライターが熱心に特定のクルマをゴリ押しすればするほど、クルマの魅力なんて剥がれていってしまうのではという気さえします。若い世代からしてみたら、バブル期のノリだけでライターになってしまったイタいオッサン達が「君たちにはこのクルマがピッタリだよ!」なんて言ってきたら、気味が悪くて逃げ出したくなるはずです・・・。

  別にオッサンライターに限ったことでなく、そもそも「クルマを奨める」って行為は相当に信頼関係がないと成立しないのかなという気がします。私がブログでインプレッサやアテンザをいくら褒めたところで、それを読んでに買いたいと思う人はやはり稀だと思います。

  ちょっと話がそれましたが、要は評論家がゴリ押しするクルマはろくでもないものが多いということです。そして始末が悪いことに、本当に良いクルマが登場するとなぜか多くの評論家は不思議とアンチに回ります(ライバルメーカーにお金貰ってるのかも?)。実際に新型アテンザや新型レクサスISに対しては非常に辛辣な意見が多かったです。この2台は日本車の印象を根こそぎ変えてしまうほどのインパクトがありどちらも歴史的な1台になる予感があるのですが・・・。そして同様にこの新型アコードHVもデビュー前からなぜかやたらと冴えないレビューが多いようです(トヨタの圧力か?)

  写真やホンダカーズに停まっている実車を見る限りだと、内装・外装ともに非常に魅力的に見えます。こんな呑気なことを書いていると「乗らなきゃわからねーよ」といったコメントを頂戴したりします。確かに中古車を買う時はそうかもしれませんが、アコードのようなフラッグシップモデルを新車で買うならば、同クラスのセダンの経験があるならば試乗はあまり重要ではないと思います。確実に言えることは、ホンダのこのクラスのクルマなら「酷い」ということはないはずです。同時にスポーツカーではないので、「最高」ということもないです。

  プロライターのレビューなんて基準は極めて曖昧なものでほとんど参考になりません。それ以上に自ら短時間の試乗をしたところで相当な経験値がない限りは良し悪しは皆目検討もつかないでしょう。一番確実な方法は、自分の頭で考えることだと思います。休日に楽しくドライブしたいならドライバーズカーとして定評のあるメーカー(スバル・マツダ・ポルシェ・BMW)を念頭に、峠を走るなら軽いクルマ、高速を走るなら馬力のあるクルマといった要領で選べばいいのではないでしょうか?

  

2013年7月17日水曜日

「トヨタ3.5Lのセダンを買おう!」 レクサスGS・IS・トヨタクラウン・マークX

  
  ホンダと日産は尻尾を巻いて日本市場から逃げ出してしまった。3.5Lや3.7Lのセダンはアメリカ市場ではまだまだ主役だが、どうやら日本では完全に「過去の遺物」と判断されているようだ。カタログ燃費で10km/Lのクルマを買うのはなかなか勇気がいる気がする。それなのになぜ「燃費」推進派のトヨタが新型車にもこの3.5Lエンジンを載せ続けるのか?セダン4種だけでなく、ミニバンやSUVにも万遍なく使われていてこのエンジンのグレードがあるクルマはトヨタの上級車種ということになる。

  ハイブリッドを戦略的に拡げているトヨタは、どうやら同時にHV車が持つ致命的な欠点も十分に知り尽くしているらしい。世界で一番研究開発にお金を注ぎ込んでいるトヨタなのだから、当然ながらライバルメーカーのクルマも全て分析している。その上で販売の8割がハイブリッドに集中しようとも、クラウンアスリートやレクサスISに3.5Lガソリン搭載モデルを残すのだからよっぽどの事情があるのだろう。トヨタの開発者のスポーツセダンに対する熱い想いがまだまだ強く残っているからだけでなく、セダンとしてのプライドみたいなものかもしれない。

  そんなことは知ってか知らずか、カーメディアは「ハイブリッドによるセダンの復権」をさんざん煽っている。確かにクラウンもISも予想以上にハイブリッドが売れているそうだが、それでも「復権」という言葉にはとてつもない違和感を感じてしまう。従来のセダンの良さを言うならば「安全・快適・高性能」だったが、ハイブリッドセダンは「燃費」を追求するあまり乗り心地や高性能への意識が低い。さらに重量増による操舵感の変化や、高速旋回や制動時における安全性も脅かされてしまう。もちろんこんなことをプロのメディアが書いたらクルマ会社から袋叩きにされてしまうから、雑誌や新聞で目にすることはまず無いけど。

  燃費が良くなったのはもちろん歓迎すべきことだけども、それが理由で売れているとなるともはや「セダンの復権」とは言えなくなってくる。セダンとは似て非なるものがヒットしているに過ぎない。多くの人はハイブリッドになって下取り価格が上昇すると考えているようだが、これだけ売れてしまうともはや飽和状態になるのも時間の問題だ。ちょっと時代が変われば、3.5Lのモデルの方が楽しいと評価されて、希少感もあって下取りが上昇しそうな気がする(それでもカッコよくないとダメだろうが・・・)。

  このまま行くとおそらく、アルファード・ヴェルファイアの二の舞になるだろう。私自身は下取りなど全く考えずにクルマを選ぶ方なのでかなり疎いのだが、それでもこのセダンのHVが一気に暴落するのは予想がつく。なんとなく良さそうだからと話題になって、過去にもワゴンだったりミニバンだったりが代わる代わるヒットしてきたが、結局は何かしらの欠点が露呈して流行が去っていった。トヨタ・日産・ホンダのビッグ3が争って作っているハイブリッドのセダンもヒットからブームの兆しを見せているが、もうすでにトヨタの開発者が「3.5Lのガソリンのほうが楽しい」と宣言しているくらいだから、やがてブームも潮が引くように止んでいくような気がしてならない。

  やはりセダンは「安全・快適・高性能」を軸に人気を取り戻してほしいものだと思う。トヨタが意地で主力セダンに乗せ続ける3.5Lエンジンは、トヨタらしからぬスポーティさを売りにしていて、メルセデスの3.5Lエンジンに匹敵する高回転型エンジンだ。これを贅沢に使ったトヨタのセダンの良さが、再び広く認識されて人気になるのはなかなか想像がつかない。それでもこれが売れてこそ本当の意味での「セダンの復権」だと思う。



  

  

  

  

2013年7月5日金曜日

「ドイツ車に足りないものを持った秀逸・中級車」 アウディA6/S6

    はじめに・・・本ブログ記事では、
「入門車」⇒2~2.5LのNAのDセグセダン 
「中級車」⇒3.0~3.7LのNA/ターボのD/Eセグセダン 
「上級車」⇒V8以上のエンジンを搭載した高級モデル
と独自の(勝手な)クラス分けを用いています。ご了承ください。

  高級車としてのセダンは今でも街中で目立つ存在ではある。しかしレクサスGS&LS、BMW5&7、メルセデスE&Sといった日本でもおなじみの高級セダンのデザインを「相対的」ではなく「絶対的」に評価するならば、果たしてどれほど胸がときめくだろうか? あくまでフォーマルな状況で使われることを想定されているから、スポーツカーのような華美な意匠は御法度なのだろうが、それでもちょっと値段なりのドキドキ感があってもいいのではないかという気がする(私がガキすぎるだけかもしれないが・・・)。

  それでもこのアウディA6に関しては、他とはひと味違う高級車のフォルムを感じる。「中級車」に分類されるクルマは一般に車体の大きさに比してランプ類やキャラクターラインが小振りで、やや無機質な「間延び」を感じるデザインに陥ることが多い。しかしこのアウディA6は大きめに採られたグリルが車体の雄大さに良くマッチしていて、ライバル車と比べてかなりダイナミックで統一感のあるデザインに仕上がっている。このA6が2004年に登場したとき以来、高級セダンのデザインは突如として進化を始めた。その後に登場したメルセデスEクラスやレクサス各車、トヨタクラウンなどが一生懸命にフォローしているが、いまだにアウディを超えるグリルデザインは登場していないようだ。

  このアウディA6/S6の実力として高く評価したいのは、エンジンの設定がとても絶妙で乗り手のニーズに真摯に応えようといている姿勢だ。燃費重視のハイブリッドのFFモデルもあるが、とりあえずアウディ本来の楽しさを味わうにはAWDの「クワトロ」を選びたい気がする。日本公式発売のA6に設定されているガソリンエンジンは2.8LのNAと3.0Lターボの2種類のV6だ。この2グレードはなんと価格が200万円以上も違うからちょっとびっくりしてしまう。当然にこれだけ価格の高い3Lターボモデルはアクセルを踏み込んだ瞬間に「全能の神」になったようなトルクが味わえるので、一度乗ってしまったらもうヤミツキになるほどだ。

  廉価の2.8Lモデルも決してパワー不足なんて感じさせないだけの実力を「隠し持って」いる。こちらはアウディには珍しいNAエンジンでこれがメルセデスの3.5Lに負けないくらいによく回る。3Lターボに使われているエンジンとは特性が違っていて、完全に作り分けられている。廉価モデルにも関わらず、MTモードで低速ギアに抑えて加速していけば相当にパワフルだ。トラクション全開のAWDにNAのレスポンスが染み渡っていく「快感」はターボモデルには無い良さがある。アウディ車に何を求めるかにもよるだろうが、このベースグレードのエンジンも相当に楽しめる。

  ちょっと野暮だが、A6のこのガソリン2グレードの設定はスバル・レガシィのNAとDITターボモデルの関係に近い。「入門車」のレガシィにとって「中級車」のA6は上位互換車といってもいいかもしれない。「入門車」であるアウディA4は2Lターボの超ロングストロークというトルク重視の設定で、スポーティさに欠けるのであまりオススメはできないが・・・。

  3Lターボは燃費さえ気にしなければ、「GTカー」としての実力を全方向的に発揮できる「抜群」なクルマで、その実力は並みいるFRのライバル車を多くの面で上回る実力を持っている。なによりAWDの直進安定性とトルクが出やすいエンジンの組み合わせこそが、ガソリンエンジン時代の最後を飾る最高の「GTカー」のパッケージなのではないかと思える。こういうクルマをレガシィ以外にも「ターボ本家」の三菱や日産にも期待したかったがどうやらどちらも全く作る気はなさそうだ。このA6のデザインが若くして日産を辞めてアウディに活路を求めた日本人デザイナーによって生み出されたことを考えると、国産車好きとしては非常に残念に感じてしまうのだが・・・。

         ↓A6のデザイナー和田智さん。やはりこのデザインは日本人に響く。
  

   

  

2013年7月2日火曜日

妥協なき完成度。インプレッサG4とは全く別モノ。 「スバル・レガシィB4」

  はじめに・・・本ブログ記事では、
「入門車」⇒2~2.5LのNAのDセグセダン 
「中級車」⇒3.0~3.7LのNA/ターボのD/Eセグセダン 
「上級車」⇒V8以上のエンジンを搭載した高級モデル
と独自の(勝手な)クラス分けを用いています。ご了承ください。


  スバルの業績が回復し、今や日本で一番勢いがあるブランドと言ってもいいほど好調だ。北米でもスバルは日産とともに直近で好業績を修めていて、早くもアメリカからの「警告」ともとれる警戒論がメディアを賑わせている。VWのクルマを絶賛するだけで何も文句を言わない日本市場とはだいぶスタンスが違うようだ。現地生産比率が高い日産に対してスバルは輸出が多いので、今後さらに激しいバッシングを受けるかもしれない。

  アメリカの論理というのは、時にかなりヘンなものがあり、ある商品が定期的に輸入されている場合に、その生産国でその産業が「過度」に保護されていることが証明されれば、即座に「セーフガード」を発動する習慣がある。トヨタやホンダにも昔から厳しい現地生産基準量を要求してきていたりと、かなり神経を尖らしてきている。もしスバルの輸出量がアメリカ産業にとって無視できない基準に達した場合に、「とんでも」な言いがかりもありうる。

  例えばトヨタは日本政府が定める「エコカー減税」と「補助金」の恩恵を一番受けて来たメーカーである。そのトヨタが数年前からスバルと業務提携と資本関係に突入していて、具体的な協業として、トヨタ86/スバルBRZを共同開発していることは広く知られている。つまり日本政府から実質的に多額の支援を受けているトヨタが、スバルにカネを出して新しいクルマを開発させたわけだ。これによってスバルは新型エンジンとして従来の「EJ型」に代わる新しい「FA型」と「FB型」のエンジンを開発している。見方によってはトヨタがアメリカとの現地生産の協定の抜け穴として、スバルを支援しているともとれるが・・・。

  スバルの規模のメーカーでは通常は排気量ごとに1種類のエンジンを複数の車種で使い回すことが多い。しかし今回スバルはなんと2Lのエンジンに関しては2種類用意することができた。とてもじゃないがスバル単独ではできない芸当だ。これはスバルにとっては商品開発を最適化する上で最重要な方針だったようで、実行の為にこれまでは多少「軽蔑の念」すらあったであろうトヨタと手を組む事に同意したようだ。

  この2種類のエンジン(FA20型とFB20型)を使ってそれぞれ作られたのが、「トルク&燃費」重視のFB20型エンジンを搭載する新型インプレッサ2Lモデルと、「スポーツレスポンス」重視のFA20型エンジンを搭載するBRZだ。どちらもスバルの狙い通り国内外で好調なセールスを記録している。この2Lエンジンを併用する体制は顧客ニーズに上手く合致している。同規模のBMWやマツダが「燃費&トルク」重視の新型2Lエンジンへ大半のモデルを切り替えているので、スバルのパワーユニットに関する優位は今後も続いていくだろう。

  スバルの強みは、FB20型搭載の2Lのインプレッサが強豪ひしめくCセグライバルに「総合性能」で睨みを利かせておいて、さらに「差別化」された3つのエンジングレードを持っていることだ。1つは先ほどのBRZであり、繰り返しになるが「レスポンス」に優れたスポーツモデルだ。2つ目は2.5LのFB25型を搭載したNAのレガシィだ。FB25型は従来のスバルらしいショートストロークエンジンで、ロングストロークエンジン(FB20型)のインプレッサよりも高級感のある乗り味を目指して作られている。

  3つ目はレガシィとフォレスターのターボモデルに使用されるFA20型をターボ化したDITエンジンだ。このエンジンはBRZの「スポーツレスポンス」に加えて、ターボによる幅広い回転域でのトルクが得られる。ドイツ車の直4ターボはロングストロークなので、それらよりもレスポンスに優れていて、ゴルフGTIなどの2Lターボとはモノが違う。それと同時にスバルが従来から作っているWRX STIに使われている「尖った」スポーツ仕様ではなく、ある程度燃費も確保されていて、あくまで乗用車の一般ユーズに合ったターボエンジンだ(WRX STIにはまだ投入されていない)。

  現行のレガシィは「FB25」と「FA20DIT」の2種類のエンジンが使われていてどちらも高級セダンにふさわしい実力を兼ね備えている(FB25DITモデルは生産終了らしい)。インプレッサG4が発売した当初は、内外装のクオリティがレガシィB4とほとんど同じだったことから、評論家筋が盛んにインプレッサをもて囃し、人気に火が付いたようだが、実際にはドライブフィールは全くの別物で、価格に見合った差別化が施されている。フラッグシップセダンにふさわしい乗り味という意味では、話題の新型アテンザ(2.5L直4のPY-VPRエンジンが???)よりもレガシィの方が優れているという見方もできる。

  レガシィをインプやアテンザと比較するレビューが多かったりするが、結論としてはレガシィがクルマの基本性能では数段上であり、同時にもっともスポーティな設定になっている。もちろん燃費を重視すればインプやアテンザの方が上回る。まあデザインについては、間違いなくアテンザなので、レガシィのデザインが許容できるかという問題がありますが・・・。