2013年7月17日水曜日

「トヨタ3.5Lのセダンを買おう!」 レクサスGS・IS・トヨタクラウン・マークX

  
  ホンダと日産は尻尾を巻いて日本市場から逃げ出してしまった。3.5Lや3.7Lのセダンはアメリカ市場ではまだまだ主役だが、どうやら日本では完全に「過去の遺物」と判断されているようだ。カタログ燃費で10km/Lのクルマを買うのはなかなか勇気がいる気がする。それなのになぜ「燃費」推進派のトヨタが新型車にもこの3.5Lエンジンを載せ続けるのか?セダン4種だけでなく、ミニバンやSUVにも万遍なく使われていてこのエンジンのグレードがあるクルマはトヨタの上級車種ということになる。

  ハイブリッドを戦略的に拡げているトヨタは、どうやら同時にHV車が持つ致命的な欠点も十分に知り尽くしているらしい。世界で一番研究開発にお金を注ぎ込んでいるトヨタなのだから、当然ながらライバルメーカーのクルマも全て分析している。その上で販売の8割がハイブリッドに集中しようとも、クラウンアスリートやレクサスISに3.5Lガソリン搭載モデルを残すのだからよっぽどの事情があるのだろう。トヨタの開発者のスポーツセダンに対する熱い想いがまだまだ強く残っているからだけでなく、セダンとしてのプライドみたいなものかもしれない。

  そんなことは知ってか知らずか、カーメディアは「ハイブリッドによるセダンの復権」をさんざん煽っている。確かにクラウンもISも予想以上にハイブリッドが売れているそうだが、それでも「復権」という言葉にはとてつもない違和感を感じてしまう。従来のセダンの良さを言うならば「安全・快適・高性能」だったが、ハイブリッドセダンは「燃費」を追求するあまり乗り心地や高性能への意識が低い。さらに重量増による操舵感の変化や、高速旋回や制動時における安全性も脅かされてしまう。もちろんこんなことをプロのメディアが書いたらクルマ会社から袋叩きにされてしまうから、雑誌や新聞で目にすることはまず無いけど。

  燃費が良くなったのはもちろん歓迎すべきことだけども、それが理由で売れているとなるともはや「セダンの復権」とは言えなくなってくる。セダンとは似て非なるものがヒットしているに過ぎない。多くの人はハイブリッドになって下取り価格が上昇すると考えているようだが、これだけ売れてしまうともはや飽和状態になるのも時間の問題だ。ちょっと時代が変われば、3.5Lのモデルの方が楽しいと評価されて、希少感もあって下取りが上昇しそうな気がする(それでもカッコよくないとダメだろうが・・・)。

  このまま行くとおそらく、アルファード・ヴェルファイアの二の舞になるだろう。私自身は下取りなど全く考えずにクルマを選ぶ方なのでかなり疎いのだが、それでもこのセダンのHVが一気に暴落するのは予想がつく。なんとなく良さそうだからと話題になって、過去にもワゴンだったりミニバンだったりが代わる代わるヒットしてきたが、結局は何かしらの欠点が露呈して流行が去っていった。トヨタ・日産・ホンダのビッグ3が争って作っているハイブリッドのセダンもヒットからブームの兆しを見せているが、もうすでにトヨタの開発者が「3.5Lのガソリンのほうが楽しい」と宣言しているくらいだから、やがてブームも潮が引くように止んでいくような気がしてならない。

  やはりセダンは「安全・快適・高性能」を軸に人気を取り戻してほしいものだと思う。トヨタが意地で主力セダンに乗せ続ける3.5Lエンジンは、トヨタらしからぬスポーティさを売りにしていて、メルセデスの3.5Lエンジンに匹敵する高回転型エンジンだ。これを贅沢に使ったトヨタのセダンの良さが、再び広く認識されて人気になるのはなかなか想像がつかない。それでもこれが売れてこそ本当の意味での「セダンの復権」だと思う。



  

  

  

  

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